女の「浮気」の正当化

つい最近まで(そして年代によっては今でも)男性の浮気が当たり前と思われていたのに対し、女性の浮気は「とんでもないこと」たった。そこで、現代の女性誌が「複数恋愛」などを肯定的に扱う場合、適当な「応援団」を見つけてきて、浮気的な行為をできれば科学的に正当化しようとする。

たとえば『SAY』の「ひとりの彼にしばられたくない もっといろんな恋をしたい」では、医学博士が登場して「恋愛を生理的に見ると女性のほうが有利なんです」と断言する。

それはセックスにおいても、女性はいつでも可能なのに男性はそうはゆかない点からも明らかとか。この記事はバイアグラが出回る前に掲載されたものだが、薬があったところで、やはり男性には回数的に限界があるはずだ。

私が大学院在学中、同期の男子学生があるとき、したり顔で、「もし妻が浮気をしたら絶対に夫にバレる」と言ったのが忘れられない。

「どうして?」

「だって、浮気している妻は夫に対してセッククスを拒否するに決まっているから」

まさかドイツ哲学専攻の男性が皆、彼のように単純発想の持ち主ではあるまいが、いや、ひょっとしたら世の中、こんなふうに考えて安心しきっている男たちが多いのだろうか。

だとしたら、セックスを拒否しなければ、妻の浮気はバレないのだ!

しかも(ありがたいことに?)女性の場合、たとえ浮気デートから帰宅直後でも、夫を受け入れることは(その気がなくても)可能である。

けれども男性の場合は大変だ。還暦を過ぎたあるプレイボーイ氏は、なんと「彼女」との情事を楽しんだ日に限って。その夜、妻にすり寄って来られたことがあるのだとか。

「本当に不思議なんだけど。何力月も僕を求めなかったくせに、フェロモンを感じたのかもしれない」

「で、どうされました」

「死ぬ思いで頑張りましたよ。妻に恥をかかせてはいけませんからね」

浮気については決して誉められないが、この妻に対する心意気は立派だと思う。こんなオトウサンなら、「熟年離婚」の心配はあるまい。ただしこの一件以来、この男性は。(もしもの場合に備えて)妻のために「余力」を残すべく、浮気において心がけるのだとか。やれやれ。

というわけで、たしかに「複数恋愛」について、肉体的には、男性より女性のほうが有利である。そんこと、言われなくても誰だってわかっているのだが、「医学博士」から「御墨付き」をいただくと、恋愛性の女性なら、「複数恋愛」への免罪符に利用することになるだろう。「だって女性の肉体って、そんなふうにつくられてるのよ」と。しめしめ。